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外国人旅行者を案内する仕事に興味はあるけれど、「通訳案内士」という言葉は聞いたことがあるだけ。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、通訳案内士は「お金をもらって、外国人旅行者に付き添い、外国語で旅行の案内をする人」のことで、国の資格には全国と地域の2種類があります。
この記事を読むと、仕事の中身と2種類の違い、そして目指す時に最初に何を見ればいいかが分かります。
通訳案内士とは?法律で決まっている仕事の中身
通訳案内士とは、通訳案内士法で決められた資格の名前です。法律では「報酬を得て、通訳案内を業とする」人とされています。
ここでいう「通訳案内」にも、法律の中にちゃんと定義があるんです。
観光庁の説明では、通訳案内は「外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすること」とされています。
つまり、ただ英語が話せるだけでも、ただ観光地に詳しいだけでもない、ということですね。
『通訳ガイドと何が違うの?』と思った方もいるかもしれません。
日常会話では、通訳案内士のことを「通訳ガイド」と呼ぶこともよくあります。仕事の中身はほぼ同じものを指していると考えて大丈夫です。
ただ、資格を持たない人が「通訳ガイド」と名乗ることには注意点があります。この話は、あとの法改正のところで詳しく見ていきますね。
定義を3つに分けて読むと分かりやすい
法律の言い方は少し硬いので、3つのパーツに分けてみます。
| 定義のパーツ | 意味 | 例えばこんな場面 |
|---|---|---|
| 報酬を得て | 仕事として案内する | 依頼を受けて1日の観光を案内する |
| 外国人に付き添い | 旅行者と一緒に動く | 駅で合流して寺社や街を一緒に歩く |
| 外国語を用いて旅行を案内 | 相手の言語で説明する | 庭園の成り立ちを英語で話す |
この3つがそろっているのが、通訳案内士の仕事です。
友人の家族を無償で案内するのは「報酬を得て」に当たりません。なので、ここでいう業務とは別の話になります。
通訳案内士法の目的もひと言で
法律の第1条には、制度を作った目的も書かれています。
外国人観光旅客への接遇を良くして、国際観光を盛り上げること。かみ砕くと「日本に来た旅行者に、気持ちよく旅をしてもらうための資格」なんです。
「語学ができる観光ガイド」とはどこが違う?法改正の前と後
ここは、ほかではあまり語られない大事なところです。
通訳案内士の制度は、2018年1月4日に施行された法改正で大きく変わりました。正式には「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」です。
『資格がないと通訳ガイドの仕事はできないんでしょ?』と思っている方も多いはずです。実は、それは改正前の話なんです。
改正前と改正後の早見表
| 項目 | 2018年の改正前 | 2018年の改正後 |
|---|---|---|
| 有償の通訳案内 | 資格を持つ人だけができた(業務独占) | 資格がなくても有償でできる |
| 名前のルール | 資格者の名前は資格者だけ | 名称独占は残り、資格者以外は資格名や似た名前を使えない |
| 資格の名前 | 通訳案内士 | 全国通訳案内士(以前の通訳案内士はそのまま全国とみなされる) |
| 地域の制度 | 地域限定通訳案内士・地域特例通訳案内士 | 地域通訳案内士に一本化して全国に広げた |
| 定期的な研修 | なし | 全国通訳案内士は5年ごとに通訳案内研修を受ける義務 |

いちばん大きいのは、業務独占がなくなって名称独占だけが残ったことです。
資格の価値は「名乗れること」と「国が認めた知識と語学力の証明」に移った、と考えると分かりやすいですよ。
改正で「名乗り方」が大事になった
業務独占がなくなったことで、旅行者から見ると「だれが資格者なのか」が分かりにくくなりました。そこで意味を持つのが名称独占です。
例えば、案内を頼む側との間でこんなやり取りがあったとします。
「あなたは国の資格を持ったガイドさんですか?」
「はい、全国通訳案内士として登録しています。登録証もお見せできますよ」
こう答えられるのは、登録を受けた人だけなんです。資格があることを、名前と登録証で示せるのが強みになります。
以前に資格を取った人の扱い
改正前に合格して登録していた人は、改正後は「全国通訳案内士」とみなされます。
観光庁の説明では、登録証の再発行などの手続きは要りません。昔の登録証のままで大丈夫ということですね。
同じ改正で、旅行の企画や手配をする「ランドオペレーター」の登録制度もできました。ガイドの仕事を受ける時に関わる相手として、名前だけ覚えておくと役立ちます。
資格がなくてもできること、使えない名前の具体例は、資格なしで通訳ガイドをする時の名称のルールで詳しくまとめています。
全国通訳案内士と地域通訳案内士、2種類の違い
全国通訳案内士は国家試験に合格して都道府県に登録した人で、全国で活動できます。地域通訳案内士は自治体の研修を受けて登録した人で、その地域の中で活動します。
名前が似ているので、ここで迷う方は本当に多いんです。
『どっちを目指せばいいの?』という声に答えるために、まず違いを表にしてみます。
| 比べる点 | 全国通訳案内士 | 地域通訳案内士 |
|---|---|---|
| なり方 | 全国通訳案内士試験に合格し、住んでいる都道府県で登録 | 自治体が行う研修を受けて登録 |
| 活動できる範囲 | 全国 | 登録を受けた地域の中 |
| 求められる知識 | 日本全国の歴史・地理・文化など | その地域の歴史・地理・文化など |
| 外国語 | 試験の10言語から選ぶ | 地域の特性に合わせて設定 |
| 定期研修 | 5年ごとの受講が法律上の義務 | 法律上の義務はない |
| 交付されるもの | 全国通訳案内士登録証 | 地域通訳案内士登録証 |

詳しい位置づけは全国通訳案内士とは、地域の制度は地域通訳案内士とはで一つずつ見ていけます。
地域通訳案内士はどれくらい広がっている?
観光庁の資料では、令和8年4月1日時点で43地域に導入され、育成人数は4,260名です。
札幌市や京都市、奈良県、沖縄県などのほか、九州地域や高野・熊野地域のように広い範囲で導入している例もあります。
全国通訳案内士が大都市に多く、言語も英語に偏っていること。特に地方で足りていないことが、地域の制度を広げた背景にあるんです。
「国内通訳案内士」「国際通訳案内士」という呼び方について
検索していると、国内通訳案内士や国際通訳案内士という言葉を見かけることがあります。
ただ、法律で決まっている名前は「全国通訳案内士」と「地域通訳案内士」の2つです。似た言葉を見かけたら、どちらの制度の話かを確かめてみてください。
- 住んでいる地域の観光を深く案内したい
- 全国のいろいろな観光地を案内してみたい
- 英語以外の言語で案内したい
- 試験に向けて筆記の勉強を続ける時間が取れる
上の2つ目と4つ目に当てはまるなら全国、1つ目が強いなら地域の募集も調べてみる価値があります。
通訳案内士の仕事内容はどんなもの?
実際の仕事の中身は、想像よりずっと幅が広いんです。
観光庁が出している「通訳ガイドテキスト」には、2024年の訪日外国人旅行者数が過去最高の3,687万人だったことが書かれています。それだけ、案内を必要とする旅行者がいるということですね。
案内の当日に求められること
通訳案内士は、観光地の説明をするだけではありません。
- 待ち合わせから解散まで、旅行者と一緒に動いて旅程を進める
- 寺社や城、街並みの成り立ちを、相手の言語で分かりやすく話す
- 宗教上の注意点や食習慣に合わせて、食事の場所や順番を考える
- 天候の急変や災害の時に、落ち着いて安全な行動を案内する
例えば、昼食の前にこんなやり取りがあるかもしれません。
「このお店に、肉や魚を使わない料理はありますか?」
「確認してきますね。だしに魚が使われているかも、お店の方に聞いてみます」
こうした細かな気配りも、通訳案内士の大事な仕事なんです。
案内の前日までにしておく準備
当日の案内がうまくいくかは、実は前日までの準備でかなり決まります。
旅行者の国や文化、食事の希望、歩くペースなどを事前に聞いておくと、当日の動きがぐっと楽になるんです。
- 集合場所と解散場所、移動手段を確認する
- 食事の希望や、避けたい食材がないかを聞いておく
- 訪れる場所の開いている時間や混みやすい時間を調べる
- 雨の日や遅れが出た時の代わりの回り方を決めておく
- 災害時の避難場所や連絡先を控えておく
例えば、事前のやり取りでこんな確認をしておくと安心です。
「当日は歩く時間が長くなりますが、大丈夫そうですか?」
「ゆっくり見たい場所があれば、先に教えてくださいね」
添乗員の仕事とはどう違う?
『ツアーに付いていく添乗員さんと同じ?』と思う方もいるかもしれません。
添乗員は、主に旅程どおりにツアーを進める役割を担います。通訳ガイドテキストでは、通訳案内業務と添乗員業務を兼ねる場合や、旅程管理主任者についても説明されています。
通訳案内士は、そこに「外国語で観光地や文化を説明する」役割が加わるイメージです。旅程を守りながら、旅の中身を伝える仕事だと考えると分かりやすいですよ。
仕事を得るルートは主に4つ
通訳ガイドテキストでは、仕事を得る主なルートとして次の4つが挙げられています。
- 旅行会社が主催するガイドツアーで案内する
- 旅行会社を経由して依頼を受ける
- 訪日外国人旅行者から直接依頼を受ける
- ガイド仲間からの紹介や、ホテルのコンシェルジュからの依頼を受ける
仕事の流れをもっと知りたい方は、ツアーの1日を追った通訳案内士の仕事内容の記事も参考になります。
「資格を取れば、自動的に仕事が回ってくる」と思われがちです。実際は、上のようなルートを自分で作っていく必要があります。合格後の動き方まで見ておくと、あとで慌てずにすみます。
通訳案内士になるまでの道のりと公式サイトの見方
ここからは、全国通訳案内士を目指す場合の流れです。
全国通訳案内士試験は観光庁長官が行う国家試験で、日本政府観光局(JNTO)が年に1回実施しています。年齢・性別・学歴・国籍に関係なく、だれでも受けられるんです。
- JNTOの施行要領で、その年度の日程と科目を確かめる
- 願書申請期間にマイページから電子申請する
- 筆記試験(外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務)を受ける
- 筆記に合格したら口述試験を受ける
- 最終合格後、住んでいる都道府県に登録を申請する
2026年度の施行要領では、筆記試験が8月16日、口述試験が11月29日です。翌年度の日程は毎年JNTOが施行要領で公表するので、受ける年度のものを確かめておきましょう。
科目や日程の全体は全国通訳案内士試験とは、合格後までの流れは通訳案内士になるにはで順番に見られます。
合格率の目安
JNTOの公表値では、直近3年度の結果は次のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 最終合格者数 | 最終合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 3,987 | 585 | 14.7% |
| 2024年度 | 3,849 | 385 | 10.0% |
| 2023年度 | 3,638 | 436 | 12.0% |
年度によって幅があるので、1つの数字だけで難しさを決めつけないほうがいいですよ。
公式サイトと試験のホームページはここ
通訳案内士の情報は、公的なサイトにまとまっています。ブックマークしておくと、あとで探さずにすみます。
- 制度全体: 観光庁「通訳ガイド制度」
- 試験のホームページ: JNTO「全国通訳案内士試験」
- 過去の筆記試験問題: JNTO 過去問ページ
最初の一歩としては、JNTOの過去問ページで最新年度の日本地理を1回分解いてみるのがおすすめです。自分がどのくらい解けるかで、勉強の量の見当がつきます。
目指し方を選ぶチェックポイント
ここで、これから通訳案内士を目指す方が最初に考えておきたいことをまとめます。
『とりあえず勉強を始めればいいかな』と思うかもしれません。ただ、最初に向きを決めておくと遠回りが減るんです。
| 今の状況 | 最初に見るもの | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 英検1級などを持っている | 免除の一覧 | 地理・歴史・一般常識・実務の勉強を始める |
| 外国語に自信はあるが日本の知識が不安 | 日本地理・日本歴史の過去問 | 観光地と結びつけて覚える |
| 住んでいる地域で案内したい | 地域通訳案内士の募集 | 自治体の研修の時期を調べる |
| 勉強時間が限られている社会人 | 試験日から逆算した計画 | 講座やオンライン英会話も比べてみる |
外国語の試験を免除できる検定は、言語ごとに決まっています。英語なら実用英語技能検定1級や、TOEICの一定の点数が対象です。
日本地理なら旅行業務取扱管理者の試験合格、日本歴史なら歴史能力検定の日本史1級か2級が免除の対象になります。詳しくは免除制度の一覧で確かめてみてください。
独学で進める人も、講座を使う人もいます。どちらが正解ということはなく、使える時間と苦手な科目で選べば大丈夫です。迷ったら講座の選び方で通学・通信・オンラインの違いを見ておくと判断しやすいですよ。
勉強の進め方に迷ったら、講座やオンライン英会話を比べてみるのも一つの方法です。
通訳案内士ドットコム
独学に不安があるなら、講座やオンライン英会話を比べてみませんか
和文外国語訳の添削や口述試験の練習相手など、独学では用意しにくい部分だけでも講座やオンライン英会話を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通訳案内士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
通訳案内士についてよくある相談
ここでは、通訳案内士を目指す人からよく出る相談を、要点だけまとめて答えていきます。
英検1級と比べて、どのくらい難しいの?
英検1級を持っていても、通訳案内士の試験はどれくらい大変なのか。単語も英検1級よりずっと多く覚える必要があるのか、という相談です。
結論から言うと、比べる軸が少し違うんです。
英検1級は英語の試験免除になるので、英語の筆記は受けずにすみます。その代わり、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務は、英語力とは別に勉強が要ります。
さらに口述試験では、日本の観光地や文化について外国語で説明し、質問に答える力が見られます。単語の数より「日本のことを外国語で話せるか」が問われる、と考えると近いですね。
「対策しづらい」と聞いて不安です
来年度の受験を考えているけれど、経験者から対策しづらい試験だと聞いて心配、という相談もよくあります。
対策しづらいと言われる理由の一つは、日本地理や日本歴史の範囲が広く感じられることです。ガイドラインでは、外国人旅行者の関心が強い観光資源に関わる事柄が出題の考え方になっています。
なので、教科書を頭から覚えるより、有名な観光地と結びつけて覚えるほうが進めやすいですよ。まずは過去問を1年分解いて、どんな聞かれ方をするかを見てみてください。
口述試験の「質疑」はどう練習すればいい?
口述試験の中で、通訳したあとに質問されるパートの準備が分からない、という相談です。
ガイドラインでは、口述試験の1題目は「読み上げられた日本語を外国語に訳し、関連した質疑を行う」形です。全国通訳案内士として求められる対応についての質疑も含まれます。
例えば、旅行者に予定変更を伝える場面を想定して、「どう伝えるか」を声に出して話す練習が役立ちます。
- 身近な観光地を外国語で3文で説明して録音する
- 録音を聞き返して、言い直した所をメモする
- 「雨で予定が変わったら」など場面を決めて答えてみる
- 話し相手がいない時は、オンライン英会話などで聞き手を作る
よくある質問
通訳案内士と通訳ガイドは同じものですか?
日常会話では同じ仕事を指して使われることが多いです。ただ、資格を持たない人が「通訳ガイド」と名乗ると、資格者と誤認される名前として観光庁が例に挙げています。名乗り方には注意が必要です。
資格がなくても有償で外国人を案内できますか?
2018年1月4日施行の法改正で業務独占がなくなり、資格がなくても有償で通訳案内ができるようになりました。ただし「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」や似た名前は使えません。
外国籍の人も全国通訳案内士試験を受けられますか?
受けられます。JNTOの施行要領では、年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく、だれでも受験できるとされています。
合格したらすぐに全国通訳案内士と名乗れますか?
合格だけでは名乗れません。住んでいる都道府県の知事に登録を申請し、登録を受けると全国通訳案内士登録証が交付されます。登録に期限はありません。
一度登録すればずっとそのままですか?
全国通訳案内士は、5年ごとに登録研修機関の通訳案内研修を受ける義務があります。受けないと、都道府県が登録を取り消すことができます。
まとめ
- 通訳案内士とは、報酬を得て外国人に付き添い、外国語で旅行を案内する仕事のこと
- 2018年の法改正で業務独占がなくなり、名称独占だけが残った
- 全国通訳案内士は国家試験と都道府県の登録、地域通訳案内士は自治体の研修と登録でなる
- 全国通訳案内士は5年ごとの通訳案内研修が義務
- 最初の一歩はJNTOの施行要領と過去問を見ること





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