通訳案内士になるには?試験合格から登録までの流れ

通訳案内士になるには試験合格から登録までどう進むかを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本政府観光局(JNTO)など公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に資格講座・オンライン英会話への案内(広告)を含みます。

通訳案内士になりたいと思ったものの、何から手を付ければいいのか分からない。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、通訳案内士になるには「全国通訳案内士試験に合格する」「住んでいる都道府県で登録する」の2つが必要です。そして最初の一歩は、今の語学力と使える時間で変わってきます。

この記事を読むと、合格から登録までの流れと、自分に合った始め方が分かります。

目次

通訳案内士になるには?全体の流れ

先に結論

全国通訳案内士になるには、観光庁長官が行う全国通訳案内士試験に合格し、居住地の都道府県知事に登録を申請します。登録すると全国通訳案内士登録証が交付され、名乗れるようになります。

試験は日本政府観光局(JNTO)が毎年1回実施していて、年齢・性別・学歴・国籍に関係なく、だれでも受けられます。

『特別な学歴や経験がないと受けられないのでは?』と思っていた方も、まずは安心してくださいね。

通訳案内士になるまでの6ステップ
  1. JNTOの施行要領で、その年度の日程と科目を確かめる
  2. 免除に使える資格があるかを確かめる
  3. 願書申請期間にマイページから電子申請する
  4. 筆記試験(5科目)を受ける
  5. 筆記に合格したら口述試験を受ける
  6. 最終合格後、住んでいる都道府県で登録する
通訳案内士になるまでの、試験の申し込みから登録までの流れを示した図解

2026年度の日程で見る1年の流れ

2026年度の施行要領では、日程は次のとおりです。

時期内容
6月1日〜7月9日願書申請期間(電子申請のみ)
8月16日筆記試験
9月25日筆記試験の結果通知(予定)
11月29日口述試験
2027年1月22日最終結果の発表(予定)

申し込みから最終結果まで、およそ8か月かかるんです。翌年度の日程は毎年JNTOが施行要領で公表するので、受ける年度のものを確かめてください。

試験の全体像は全国通訳案内士試験とはで詳しく見られます。

何にお金がかかるかも先に知っておく

通訳案内士になるまでにかかるお金は、主に試験の受験手数料と、登録の手数料です。金額は年度や都道府県で変わるので、施行要領と都道府県のページで確かめてください。

かかるもの知っておきたいこと
受験手数料一カ国語ごとにかかり、二カ国語で受けると倍になる
受験手数料の免除科目の免除があっても減額されない
支払い方法クレジットカードかコンビニ。支払い後は返金されない
登録の手数料都道府県ごとに違うので、お住まいのページで確認

受験手数料は、2024年6月の省令改正で改定されています。古い情報のまま準備しないように、受ける年度の施行要領を見ておきましょう。

地域通訳案内士という道もある

なお、通訳案内士にはもう1つ、地域通訳案内士があります。こちらは試験ではなく、自治体が行う研修を受けて登録する資格です。

住んでいる地域の中で案内したい方は、自治体の募集もあわせて調べてみてください。違いは通訳案内士とはでまとめています。

最初の一歩をどう選ぶ?今の自分から決める分岐表

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

通訳案内士になるには、同じ試験を受けるとしても、スタート地点は人によってまったく違います。英語は得意でも日本の歴史が苦手な人もいれば、その逆の人もいますよね。

そこで、今の語学力・使える時間・目指す働き方の3つから、最初の一歩を選べる表を作ってみました。

今の自分使える時間最初の一歩
英検1級などで外国語が免除になる平日も少しずつ取れる免除を申請して、日本地理・日本歴史の過去問から始める
外国語は得意だが免除の資格はない時間に余裕がある免除の検定を取るか、試験の外国語を受けるかを先に決める
外国語にまだ自信がない1年以上かけられる外国語の読解と和訳を先に固め、地理・歴史は並行で少しずつ
日本の歴史や地理は得意限られている外国語に時間を多めに割き、口述で話す練習を早めに始める
住んでいる地域で案内したい地域の研修に通える地域通訳案内士の募集時期を自治体に問い合わせる
何から始めるか決められない限られている講座の資料で学ぶ順番を見比べ、計画を立ててから始める
今の語学力と使える時間から、通訳案内士を目指す最初の一歩を選ぶ分岐表の図解

大事なのは、苦手な科目から逃げずに「どこから手を付けるか」を決めることです。全科目が基準点に届かないと合格にならないので、得意科目だけ伸ばしても前に進みにくいんです。

自分の位置を知るためのチェック

表のどこに当てはまるか迷ったら、次のことを試してみてください。

今の実力を確かめる
  • JNTOの過去問ページで、最新年度の日本地理を1回分解く
  • 同じく日本歴史を1回分解いて、点数を記録する
  • 外国語の過去問で、和文外国語訳を1題だけ書いてみる
  • 身近な観光地を外国語で3文で説明して録音する
  • 持っている検定や試験の結果が、免除の対象かを確かめる

例えば、日本地理が7割近く取れて日本歴史が半分くらいなら、歴史を先に厚くする、と決められますよね。

ケース別に見る始め方

表だけだとイメージしにくい方のために、よくある状況ごとに始め方を考えてみますね。

英検1級を持っていて、日本歴史に不安がある社会人の場合です。英語は免除を申請できるので、勉強時間を日本地理と日本歴史に集中させられます。

通勤時間に地図と年表を見て、週末に過去問を1年分解く、というリズムが作りやすいですよ。

外国語の免除はなく、平日の時間が少ない場合は、まず外国語の過去問を1回分解いて、読解・和訳・説明のどこで点を落としているかを確かめます。

時間が限られている時ほど、弱い所から手を付けるのが近道なんです。

学生で時間はあるけれど、日本の知識に自信がない場合は、外国語と日本の知識を並行して進められます。

観光地を1つ決めて、その歴史を調べ、外国語で説明してみる。この流れを繰り返すと、筆記と口述の両方の準備になります。

試験に向けた準備は、免除・筆記・口述の3つ

通訳案内士になるための試験準備は、大きく3つに分けて考えると進めやすいです。

1. 免除を使えるか確かめる

ほかの資格や試験の結果で、筆記の一部の科目が免除になる仕組みがあります。

科目免除になる資格の例
英語実用英語技能検定1級、TOEICの一定の点数(公開テストのみ)
日本地理総合旅行業務取扱管理者・国内旅行業務取扱管理者の試験合格
日本歴史歴史能力検定 日本史1級または2級
一般常識大学入学共通テスト「現代社会」80点以上
通訳案内の実務ほかの試験による免除はない

TOEICは2026年度試験では2025年4月1日以降に実施されたものが対象で、有効期限があります。詳しい条件は免除制度の一覧で確かめてみてください。

よくある失敗

免除は自動では受けられません。願書申請期間内に、合格証明書などをマイページにアップロードして申請します。期間のあとに検定に合格しても、その年度は免除を申請できないので注意しましょう。

2. 筆記試験の5科目に備える

筆記試験はすべてマークシート方式で、科目ごとに合格基準点があります。

科目時間満点合格基準点(原則)
外国語90分100点70点
日本地理30分100点70点
日本歴史30分100点70点
一般常識20分50点30点
通訳案内の実務20分50点30点

日本地理と日本歴史は、外国人旅行者の関心が強い観光資源に関わる事柄から出題されます。一般常識は観光白書や時事問題、通訳案内の実務は観光庁の「通訳ガイドテキスト(初版)」が範囲の目安です。

前年度に合格した科目は、次の年度に限って免除を申請できます。1年で全部そろわなくても、2年で積み上げる考え方もできるんです。

3. 口述試験で話す力を見せる

口述試験は10分程度で、選んだ外国語で行われます。

1題目は、試験委員が読み上げる日本語を外国語に訳し、関連した質疑をする問題です。2題目は、3つのテーマから1つを選んで外国語で説明し、質疑応答をするプレゼンテーション問題です。

例えば、こんな流れを想定して練習しておくと安心です。

「お寺と神社の違いを教えてください」

「お寺は仏教、神社は日本の神様をまつる場所なんです。入口の門の形でも見分けられますよ」

評価項目は、プレゼンテーション、コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声、ホスピタリティの5つです。合格基準点は原則7割とされています。

口述試験に向けて今日からできること
  • 身近な観光地を外国語で3文で説明して録音する
  • 録音を聞き返して、言い直した所を書き出す
  • 日本語のニュースを1文ずつ外国語に訳してみる
  • 「雨で予定が変わったら」など場面を決めて答えてみる

勉強の計画の立て方は通訳案内士の勉強法で詳しくまとめています。

申し込みで気をつけたいこと

準備が進んだら、申し込みでつまずかないようにしておきましょう。申し込みはインターネットの電子申請だけで、紙の願書はありません。

電子申請の前に
  • 本人のメールアドレスを用意する(ほかの人と重ねない)
  • 免除に使う証明書をPDFかJPEGにしておく
  • 申請は1回だけにする(複数申請はすべて無効)
  • 期限までに願書の提出と受験手数料の支払いを終える
  • 願書承認のあとは外国語・受験地・免除を変えられないので、入力前に確かめる

申し込みの手順は通訳案内士試験の申し込み方法で画面の流れに沿って説明しています。

独学で進めるか、講座や英会話レッスンを使うか

『独学でいけるのかな、それとも講座を使ったほうがいいのかな』と迷う方も多いですよね。

結論から言うと、どちらにも向き不向きがあります。独学で合格を目指す人もいますし、苦手な所だけ講座やレッスンを使う人もいます。

独学が進めやすい人
  • 過去問で弱い科目がはっきりしている
  • 毎週決まった勉強時間を取れる
  • 和訳や説明文を自分で見直せる
  • 話す練習の相手が身近にいる
講座やレッスンが役立つ人
  • 口述試験で話す相手がいない
  • 和文外国語訳を添削してほしい
  • 勉強時間が限られていて効率よく進めたい
  • 何から始めるか自分で決められない

講座やレッスンが役立つ場面

講座が役立つのは、例えば和文外国語訳のように「自分では正しいか判断しにくい」所です。添削を受けると、自分のくせに気づきやすくなります。

口述試験の練習には、オンライン英会話のように話す相手がいる環境が向いています。英語で受ける方なら、観光地を説明して質問してもらう練習がしやすいんです。

一方で、独学を選ぶのもまったく問題ありません。JNTOは過去の筆記試験問題の一部を解答例と一緒に公開しているので、まずは過去問を軸に進めてみてください。

独学で進める時の組み立て方

独学を選ぶ方は、次のような順番で組み立てると迷いにくいです。

独学の進め方の一例
  1. 試験日から逆算して、科目ごとに使える週の数を決める
  2. 過去問を1年分解いて、点数の低い科目から順番を決める
  3. 日本地理と日本歴史は、観光地ごとにノートにまとめる
  4. 外国語は和訳と説明文を週に数題ずつ書き、見直す
  5. 筆記が終わったら、口述の話す練習に切り替える

『筆記が終わってから口述の準備をすればいいかな』と思うかもしれません。ただ、筆記の結果通知から口述試験までは2か月ほどしかないので、話す練習は早めに少しずつ始めておくと安心です。

講座を比べる時に見ておきたいこと

講座を使うと決めた場合も、いきなり1つに決めなくて大丈夫です。資料を2〜3講座取り寄せて、同じ物差しで比べてみてください。

講座を比べる物差し
  • 受けたい外国語と、苦手な科目に対応しているか
  • 口述試験の練習があるか
  • 和文外国語訳の添削を受けられるか
  • 質問できる仕組みがあるか
  • 受講期間が試験日に間に合うか

講座の比べ方は通訳案内士の講座の選び方、話す練習の仕方はオンライン英会話の使い方で詳しく紹介しています。

通訳案内士ドットコム

独学に不安があるなら、講座やオンライン英会話を比べてみませんか

和文外国語訳の添削や口述試験の練習相手など、独学では用意しにくい部分だけでも講座やオンライン英会話を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通訳案内士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

合格したら、登録と研修で通訳案内士になる

試験に合格したら終わり、ではないのが通訳案内士のおもしろいところです。

先に結論

最終合格しただけでは、全国通訳案内士とは名乗れません。住んでいる都道府県で登録を受けて、初めて名乗れるようになります。

施行要領では、登録には期限がないとされています。ただ、案内の仕事を始める前には済ませておきたいですね。

登録の手続き

登録の窓口や必要書類、手数料は都道府県ごとに違います。お住まいの都道府県のページで確かめてみてください。

例えば長野県は、2026年4月1日から登録のオンライン申請(抹消を除く)に対応しています。京都府など一部の府県は、登録の事務を関西広域連合に移しています。

海外に住んでいる合格者の場合

外国に住んでいる合格者は、日本に住む代理人を決めて、代理人の住所地の都道府県に登録を申請します。申請の時は代理人も窓口に出向く決まりです。

手続きの流れは全国通訳案内士の登録手続きで順番にまとめています。

5年ごとの研修と、仕事の始め方

合格して登録したあとに通訳案内士として観光地を案内する仕事のイメージ写真

登録したあとは、5年に1度、観光庁が登録した研修機関の通訳案内研修を受ける義務があります。受けないと、都道府県が登録を取り消すことができます。

また、関係団体の多くは、最終合格者向けに新人研修会を毎年行っています。こちらは任意で、受けたかどうかは登録に影響しません。

仕事の得方について、観光庁の「通訳ガイドテキスト」では次のようなルートが挙げられています。

仕事を得るルートどんな形か
旅行会社主催のガイドツアー決まったツアーで案内を担当する
旅行会社経由旅行会社から依頼を受ける
旅行者からの直接依頼訪日外国人旅行者から直接頼まれる
紹介ガイド仲間やホテルのコンシェルジュから頼まれる

合格したらしておきたいこと

最終合格の発表から登録、仕事の準備までを、順番にしておくと迷いません。

合格後の段取り
  1. マイページで合格証書を確かめて保存する
  2. 住んでいる都道府県の窓口と必要書類を調べて登録を申請する
  3. 関係団体の新人研修の内容を見て、受けるかを決める
  4. 登録日を記録し、5年ごとの研修の期限をメモしておく

通訳案内士になりたい人によくある相談

ここでは、通訳案内士になりたい人からよく出る相談を、要点だけまとめて答えます。

英検1級と比べて、どれくらい難しい?

通訳案内士は英検1級の何倍くらい難しいのか、覚える単語もずっと多いのか、という相談です。

英検1級を持っていれば英語の筆記は免除になるので、単純に何倍とは比べられないんです。その代わり、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務は、語学とは別に勉強が要ります。

さらに口述試験では、日本の観光地や文化を外国語で説明する力が見られます。単語の量より、日本のことを自分の言葉で話せるかが問われる、と考えてみてください。

口述試験の試験官はどんな人?

口述試験の試験官は何人で、どんな人がいるのか、という相談もよくあります。

ガイドラインで決まっているのは、試験時間が10分程度であること、2題の内容、評価項目です。試験官の人数や顔ぶれは公表されている情報では分からないので、どんな相手でも落ち着いて話せる準備をしておくのが一番です。

例えば、聞き手を変えながら同じテーマを3回説明してみると、相手が変わっても話せる自信がつきますよ。

来年受けたいが、対策しづらいと聞いて不安

来年度の受験を考えているけれど、経験者から対策しづらいと聞いて不安だ、という相談です。

対策しづらいと感じるのは、日本地理や日本歴史の範囲が広く見えるからかもしれません。ガイドラインの出題の考え方は「外国人旅行者の関心が強い観光資源」なので、有名な観光地から結びつけて覚えると進めやすいです。

まずは最新年度の過去問を1回分解いて、今の自分の位置を知ることから始めてみてください。

過去問はJNTOのサイトで、年度別・言語別・科目別のPDFが公開されています。2022年度から2026年度まで確認できるので、2〜3年分を続けて解くと、よく出る話題の傾向もつかみやすいですよ。

よくある質問

通訳案内士になるには、学歴や経験が必要ですか?

必要ありません。全国通訳案内士試験は、年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく、だれでも受験できます。

試験は年に何回ありますか?

毎年1回です。2026年度は筆記試験が8月16日、口述試験が11月29日でした。翌年度の日程はJNTOが施行要領で公表します。

筆記に合格して口述で不合格だったら、また筆記から受けますか?

翌年度は筆記試験全体の免除を申請でき、口述試験から受けられます。自動では免除にならないので、願書申請期間に申請しましょう。

合格したらすぐに仕事ができますか?

全国通訳案内士と名乗って仕事をするには、住んでいる都道府県で登録を受ける必要があります。登録に期限はありません。

地域通訳案内士になるには試験がありますか?

地域通訳案内士は試験ではなく、自治体が行う研修を受けて登録する仕組みです。募集の時期や方法は地域ごとに違うので、各自治体に問い合わせてください。

まとめ

この記事の要点
  • 通訳案内士になるには、全国通訳案内士試験に合格し、都道府県で登録する
  • 最初の一歩は、今の語学力・使える時間・働き方から選ぶ
  • 免除は願書申請期間内に申請しないと使えない
  • 独学でも講座でもよく、苦手な所だけ講座やレッスンを使う方法もある
  • 登録後は5年ごとの通訳案内研修が義務
通訳案内士ドットコム

通訳案内士ドットコム 編集部

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