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住んでいる町を外国人の旅行者に案内してみたい。
そう考えて調べ始めると、地域通訳案内士という名前が出てきて『これも試験を受けるの?』と迷う方も多いですよね。
結論から言うと、地域通訳案内士は国家試験ではなく、自治体が行う研修を受けて登録する仕組みです。
この記事では、地域通訳案内士の試験の有無となり方、全国通訳案内士との違い、どちらから目指すかの決め方をお伝えします。
地域通訳案内士とは?全国通訳案内士との違いを先に押さえる
地域通訳案内士は、特定の地域の歴史・地理・文化などに詳しい人が、自治体の研修を受けて登録を受けた人です。
全国通訳案内士は国家試験に合格し、都道府県に登録した人で、全国で案内できます。
まずは、観光庁が説明している2つの資格の中身を並べてみますね。
全国通訳案内士は、国家試験に合格し、高い外国語能力と日本全国の歴史・地理・文化などの観光に関する知識を持つ人です。
「全国通訳案内士」として都道府県の登録を受けます。
地域通訳案内士は、特定の地域で、その土地ならではの歴史・地理・文化などの現地情報に詳しい人です。
各自治体が行う研修を受け、「地域通訳案内士」として登録を受けます。
実は、2つの資格はどちらも同じ法律の中で定められています。
通訳案内士法の目的は、外国人旅行者への接遇を良くし、国際観光の振興につなげることとされています。
通訳案内士という仕事そのものをまだよく知らない方は、通訳案内士とは何かの解説から読むと全体がつかみやすいですよ。
| 項目 | 全国通訳案内士 | 地域通訳案内士 |
|---|---|---|
| 根拠 | 通訳案内士法 | 通訳案内士法 |
| なるための道 | 全国通訳案内士試験に合格する | 自治体が行う研修を受講する |
| 登録先 | 住んでいる都道府県 | 研修を行った地域の自治体 |
| 交付されるもの | 全国通訳案内士登録証 | 地域通訳案内士登録証 |
| 案内できる範囲 | 全国 | 登録を受けた地域の中 |
2018年の法改正で地域の制度が全国に広がった
今の形になったのは、2018年1月4日に施行された改正通訳案内士法からです。
このとき、地域通訳案内士の制度が全国に展開されました。
それまでの「地域限定通訳案内士」や「地域特例通訳案内士」は、改正後は「地域通訳案内士」とみなされています。
古い名前で書かれた情報を見かけたら、今の地域通訳案内士のことだと読み替えてください。
同じ改正で、資格がない人も報酬を受けて通訳案内ができるようになりました。
ただし「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」やそれに似た名前は、資格がないと使えません。
この名前の決まりは資格がなくても通訳ガイドはできるかの解説で詳しく紹介しています。
なぜ地域の制度があるの?
『全国の資格があれば十分なのでは』と感じる方もいるはずです。
観光庁の基本的な指針では、全国通訳案内士が東京や大阪などの大都市に偏っていて、言語も英語に偏っていることが課題とされています。
特に地方では、外国人旅行者を案内できる人が足りていない。
そこで、地元をよく知る人を地域ごとに育てる仕組みとして、地域通訳案内士があるんです。
全国通訳案内士の資格そのものについては、全国通訳案内士とは何かの解説もあわせて読んでみてください。
全国と地域を4つの物差しで比べると?
「なり方・案内できる範囲・言語・研修義務」の4つで比べると、自分に合う方が見えてきます。
とくに大きいのは、なり方(試験か研修か)と案内できる範囲です。
全国通訳案内士と地域通訳案内士の違いは、よく「全国か地域か」だけで語られます。
ただ、目指す側から見ると、もう少し細かく比べた方が判断しやすいんです。
ここでは、この記事独自の4つの物差しで並べてみます。
| 物差し | 全国通訳案内士 | 地域通訳案内士 | 目指す人が考えること |
|---|---|---|---|
| なり方 | 年1回の国家試験(筆記5科目と口述) | 自治体の研修を受講 | 試験勉強に時間をかけられるか |
| 案内できる範囲 | 全国 | 登録を受けた地域の中 | 案内したい場所が決まっているか |
| 言語 | 10言語から選んで受験 | 地域の計画で決めた言語 | 自分の言語で募集があるか |
| 研修義務 | 5年ごとに通訳案内研修の受講が義務 | 法律上の定期研修の義務はない | 登録後も学び続ける時間があるか |

物差し1 なり方は「試験」か「研修」か
全国通訳案内士は、観光庁長官が行う試験に合格する必要があります。
試験は日本政府観光局(JNTO)が実施していて、毎年1回です。
筆記試験は外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務の5科目です。
筆記に合格すると、外国語で話す口述試験に進みます。
地域通訳案内士は、自治体の研修を受けて登録を受けます。
研修では、地域の歴史・地理・文化・自然などの知識と、通訳案内の実務やコミュニケーションの技術を学ぶとされています。
物差し2 案内できる範囲
全国通訳案内士は、全国どこでも「全国通訳案内士」として案内できます。
地域通訳案内士は、登録を受けた地域の中で業務を行います。
例えばこんな場面を考えてみてください。
地元の城下町だけを案内したい人なら、地域の範囲で困ることはあまりないはずです。
一方で、旅行者と一緒に複数の県をまわるツアーに付き添いたいなら、全国の方が合っています。
物差し3 言語
全国通訳案内士試験の外国語は、英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・韓国語・タイ語の10言語です。
地域通訳案内士の言語は、地域の特性に応じて決められます。
どの言語で募集するかは、それぞれの地域の育成等計画に書かれています。
物差し4 登録後の研修義務
全国通訳案内士には、5年ごとに登録研修機関が行う通訳案内研修を受ける義務があります。
受けないと、都道府県が登録を取り消すことがあります。
地域通訳案内士には、法律上の定期研修の義務はありません。
ただ、指針では、自治体が自主的に定期研修を行うことが望ましいとされています。
全国通訳案内士の研修義務は通訳案内研修の解説でくわしく紹介しています。
いつまでに受けるか、受けないとどうなるかを1枚の表にまとめています。
地域通訳案内士に試験はある?資格を取るまでの流れ
地域通訳案内士には、全国共通の国家試験はありません。
地域ごとの募集に応募し、研修を受けて登録する流れです。
「地域通訳案内士 試験」と調べて、日程や過去問を探している方もいるかもしれませんね。
実は、全国通訳案内士のような全国共通の試験は、地域通訳案内士にはないんです。
ここが大事なところです。
地域通訳案内士の資格は、研修を受けることで登録を受けられる仕組みになっています。
ただし、研修の受講に入る前の段階で、外国語の力などを確かめる場面がある地域もあります。
どんな確認があるかは地域ごとに違うので、募集要項で確かめてみてください。
- 案内したい地域が地域通訳案内士の制度を導入しているかを観光庁の一覧で確かめる
- その自治体の募集時期・応募条件・言語を確認する
- 募集に応募し、自治体の研修を受講する
- 研修を終えたら地域通訳案内士として登録を受ける
- 地域通訳案内士登録証が交付され、その地域で活動を始める

導入している地域はどれくらい?
観光庁の公開資料では、令和8年4月1日時点で43地域が導入していて、育成人数は4,260名です。
導入地域の例としては、次のような地域が挙がっています。
- 札幌市、福島県、東京都、金沢市
- 京都市、奈良県、広島県、九州地域
- 沖縄県、山梨県、飛騨地域、高野・熊野地域
全地域の一覧は、観光庁の地域通訳案内士導入地域のPDFで確かめられます。
まだ導入していない地域はどうなる?
導入していない地域では、まず自治体が「地域通訳案内士育成等計画」をつくり、観光庁長官の同意を受ける必要があります。
その計画に書かれた研修を受けると、地域通訳案内士として登録を受けられます。
つまり、住んでいる地域で今すぐ募集がないこともあります。
その場合は、近くの導入地域を探すか、全国通訳案内士を目指すかを考えることになります。
2022年など古い年度の情報はどう読む?
「地域通訳案内士 2022」のように、年度つきで募集や研修の情報を探す方もいます。
ただ、募集時期や方法は地域ごとに違い、年度によっても変わります。
古い年度の案内を見つけたら、そのまま信じずに、今年度の自治体の案内を見るようにしましょう。
導入済みの地域でも、問い合わせ先は各自治体だと観光庁は案内しています。
過去の年度の募集ページを見て、締め切りや条件を今年も同じだと思い込んでしまうこと。
募集のたびに条件が変わることがあるので、最新の案内で確かめてください。
募集の具体的な探し方は、地域通訳案内士の募集の探し方で手順にしてまとめています。
地域限定通訳案内士試験の合格者は全国の試験で有利になる?
以前は、地域限定通訳案内士試験という試験が行われていた地域がありました。
北海道・岩手県・栃木県・静岡県・長崎県・沖縄県です。
これらの試験の合格者は、全国通訳案内士試験で、その外国語(英語・中国語・韓国語)の筆記が免除されます。
ただし、研修で養成される特例ガイドは対象外です。
免除の全体像は試験の免除制度の一覧で確かめられます。
地域通訳案内士の資格に英語力はどのくらい必要?
指針で望ましいとされているのは「外国語でのコミュニケーションに支障のない水準」です。
具体的な水準や確かめ方は、地域ごとの計画で決められています。
『英語は日常会話くらいだけど、応募できるのかな』と不安になる方もいますよね。
観光庁の基本的な指針では、「社会生活で求められる外国語を十分理解し、使用することができるなど、外国語でのコミュニケーションに支障のない水準」が望ましいとされています。
どのくらいの力を求めるかは、それぞれの地域の育成等計画に書かれます。
地域通訳案内士の英語は、試験のための英語というより「現場で話せる英語」が大事になります。
研修の後には、旅行者と実際にやりとりするからです。
応募前に自分の英語を確かめるチェック
次の項目を、案内したい地域の名所を思い浮かべながら確かめてみてください。
- 地元の代表的な名所を、英語で3文で説明して録音できる
- 「なぜここが有名なのか」と聞かれて、理由を英語で答えられる
- 道順や集合時間など、ツアー中の連絡を英語で伝えられる
- 食事の好みや苦手な食べ物を英語で聞き取れる
- 聞き返されたときに、別の言い方で言い直せる
例えばこんな練習ができます。
地元の神社の鳥居の前に立ったつもりで、「ここから先は神様の場所とされています」という説明を英語で言ってみる。
旅行者役から「写真を撮ってもいいですか」と聞かれたら、どう答えるかも考えておきましょう。
「Can I take a picture here?」
「Yes, you can. But please don’t use the flash inside the hall.」
この程度の短いやりとりを、名所ごとに2〜3往復ずつ用意しておくと、研修でも落ち着いて話せます。
答えに詰まったときに「Let me check.」と言える準備も、案内の場では役に立ちます。
こうした受け答えは、一人で台本を読むだけではなかなか身につきません。
独学で準備するか、講座や英会話レッスンを使うか
英語の準備は、独学でも十分に進められます。
ガイドブックの英語版を声に出して読む、名所の説明を録音して聞き直す、といった方法は費用もかかりません。
一方で、講座や英会話レッスンが役立つ場面もあります。
- 英語で話す相手が周りにいない
- 自分の説明が自然な英語か、誰かに直してほしい
- 仕事や家事で勉強時間が限られている
- 全国通訳案内士の試験も視野に入れていて、何から始めるか決められない
話す相手が欲しい方は、オンライン英会話の使い方を参考にしてみてください。
全国通訳案内士の試験までまとめて準備したい方は、講座の選び方で学び方を比べられます。
通訳案内士ドットコム
独学に不安があるなら、講座やオンライン英会話を比べてみませんか
和文外国語訳の添削や口述試験の練習相手など、独学では用意しにくい部分だけでも講座やオンライン英会話を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通訳案内士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
全国と地域、どちらから目指すか決める判断表
案内したい地域が決まっていて、そこに募集があるなら地域から。
全国で活動したい、または住む地域に制度がないなら全国から考えるのが自然です。
どちらの資格にも、それぞれの良さがあります。
どちらが上という話ではなく、自分の状況に合う方を選ぶのが大事なんです。
ここでは、よくある状況ごとに考え方を並べてみます。
| あなたの状況 | 考えやすい選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 地元の観光地だけを案内したい | 地域通訳案内士から | 研修で地域の知識を深く学べる |
| 複数の地域をまわるツアーに付き添いたい | 全国通訳案内士 | 全国で案内できる |
| 住む地域に制度がない | 全国通訳案内士、または近くの導入地域 | 地域の募集がないと応募できない |
| 英語以外の言語で案内したい | 両方を確かめる | 全国は10言語、地域は計画で言語が決まる |
| 試験勉強の時間を長く取れない | 地域の募集を先に確かめる | 研修型なので試験勉強とは進め方が違う |
| 将来は全国でも活動したい | 地域で経験を積みつつ全国の試験を準備 | 両方の資格を持つ道もある |
ケース1 英検1級を持っていて、地元の案内から始めたい
英語の力に自信がある場合でも、地域の歴史や文化を深く知っているとは限りません。
地域通訳案内士の研修では、その土地の知識を学べます。
一方で、英検1級は全国通訳案内士試験の外国語の免除にもなります。
全国の試験に進む場合は、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務の4科目に集中できます。
ケース2 中国語や韓国語で案内したい
地域通訳案内士の言語は、地域の計画によって決まります。
自分の言語で募集している地域かどうかを、まず確かめてみてください。
全国通訳案内士試験なら、中国語も韓国語も選べます。
言語ごとの違いは外国語10言語の解説で紹介しています。
ケース3 試験勉強と仕事を両立させたい
全国通訳案内士の試験は、筆記が5科目あり、口述試験もあります。
働きながら準備するなら、1年単位の計画が必要になります。
『地域の研修なら楽そう』と思うかもしれません。
ただ、研修にも時間数があり、募集の時期も決まっています。
どちらを選ぶにしても、使える時間を先に確かめておきましょう。
- 地元の知識を研修で深められる
- 国家試験の勉強とは違う形で準備できる
- 案内したい場所が決まっている人に合う
- 住む地域で募集がないことがある
- 案内できるのは登録を受けた地域の中
- 言語が地域の計画で決まっている
全国通訳案内士試験の全体像は、全国通訳案内士試験の解説で確かめられます。
地域通訳案内士についてよくある相談に答えます
よくある相談は「資格がないとガイドできないのか」「全国の試験はどれくらい大変か」「自分の県で資格を取るには」の3つです。
ここでは、質問サイトでよく見かける相談を、要約してお答えしますね。
相談1「お金をもらって外国人を案内できるのは、資格のある人だけだと思っていた」
そう思っている方は少なくありません。
2018年の法改正で、資格を持たない人も報酬を受けて通訳案内をできるようになりました。
ただし、資格がない人は「全国通訳案内士」「地域通訳案内士」やそれに似た名前を使えません。
観光庁は「通訳ガイド」「認定ガイド」「(地域名)ガイド」なども、誤解を招く名前の例として挙げています。
資格があると、こうした名前を名乗って案内できます。
旅行者や依頼する側から見て、一定の知識を持つ人だと伝わりやすいのが資格の役目です。
相談2「全国の試験の地理と日本史は、どれくらい難しい?」
語学が得意な方ほど、地理や歴史が気になるようです。
日本地理と日本歴史は、それぞれ30分・100点満点で、合格基準点は原則70点です。
出題は、外国人旅行者がよく訪れる、または評価が高い観光資源に関わる事柄が中心です。
まずはJNTOの過去問ページで、日本地理を1回分解いてみてください。
自分の手応えが分かると、地域から始めるか全国を目指すかも決めやすくなります。
相談3「自分の県で地域通訳案内士の資格を取るにはどうしたらいい?」
まず、その県や市が制度を導入しているかを観光庁の一覧で確かめます。
導入済みなら、募集時期や方法はその自治体に問い合わせるのが確実です。
例えば山梨県は、観光庁の資料で導入地域の例に挙がっています。
導入地域の自治体の観光担当課の案内で、次の募集を確かめてみてください。
ここでの回答は、観光庁とJNTOの公開情報をもとにしています。
地域ごとの細かい条件は、それぞれの自治体の案内で確かめてください。
よくある質問
地域通訳案内士に試験はありますか?
全国共通の国家試験はありません。自治体が行う研修を受けて登録を受ける仕組みです。研修の前に外国語の力などを確かめる地域もあるので、募集要項で確かめてください。
地域通訳案内士の資格で全国を案内できますか?
地域通訳案内士が業務を行うのは、登録を受けた地域の中です。全国で案内したい場合は、全国通訳案内士試験に合格して都道府県に登録する必要があります。
全国通訳案内士と地域通訳案内士の両方を持つことはできますか?
2つは別々の仕組みなので、地域で登録を受けたあとに全国の試験を目指すこともできます。両方の登録の条件は、それぞれの窓口で確かめてください。
地域通訳案内士は英語以外でもなれますか?
言語は地域の特性に応じて決められ、各地域の育成等計画に書かれています。英語以外の言語で募集している地域もあるので、希望する地域の募集要項を見てみてください。
地域通訳案内士にも5年ごとの研修はありますか?
法律上の定期研修の義務はありません。ただ、自治体が自主的に定期研修を行うことが望ましいとされていて、地域によっては研修が用意されています。
まとめ
- 地域通訳案内士は、自治体の研修を受けて登録する資格で、全国共通の試験はない
- 全国通訳案内士は国家試験に合格し、都道府県に登録して全国で案内できる
- なり方・案内できる範囲・言語・研修義務の4つで比べると選びやすい
- 導入地域は令和8年4月1日時点で43地域、募集は自治体ごとに確かめる
- 英語は「話して伝える」練習を早めに始めておくと安心





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