全国通訳案内士試験とは?科目・日程・合格までの全体像

通訳案内士試験の科目と1年の流れを紹介する記事のアイキャッチ

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『通訳案内士の試験って、英語がすごくできる人だけが受けるものなのかな』と気になっている方も多いはずです。

結論から言うと、通訳案内士試験は語学だけでなく、日本の地理や歴史、観光の実務まで幅広く見る国家試験です。年1回、筆記と口述の2段階で行われます。

この記事では、試験の中身と1年のスケジュールを、受ける前に知っておきたい順番でお話しします。

目次

通訳案内士試験とは?国家試験としての位置づけ

先に結論

正式な名前は「全国通訳案内士試験」です。観光庁長官が行う国家試験で、実際の運営は日本政府観光局(JNTO)が代わりに担当しています。

通訳案内士は、外国人の旅行に付き添い、外国語で案内することを仕事にする人の資格です。通訳案内士法では「報酬を得て、通訳案内を業とする」人として定められています。

そして、この資格を取るための入口が通訳案内士試験なんです。試験に受かったあと、住んでいる都道府県で登録して、はじめて「全国通訳案内士」と名乗れます。

「国家試験」と言われるのはなぜ?

通訳案内士の国家試験は、通訳案内士法にもとづいて行われます。法律では、試験の目的を「全国通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定すること」としています。

民間の検定のように「点数でレベルを証明する」ものではない点が大きな違いです。国家試験 通訳案内士として登録するための、合格か不合格かを決める試験だと考えるとイメージしやすいですよ。

項目内容
正式名称全国通訳案内士試験
試験を行う人観光庁長官(JNTOが試験事務を代行)
実施回数毎年1回
受験資格年齢・性別・学歴・国籍に関係なく誰でも
外国語10言語から選択(二カ国語での受験も可)
申し込み方法インターネットの電子申請のみ

「通訳ガイド」の試験とどう違う?

『通訳ガイドの試験』で調べている方もいますよね。実は、通訳ガイドとして働くための国の試験は、この全国通訳案内士試験のことを指すのが一般的です。

2018年の法改正で、資格がなくても有償で通訳ガイドの仕事はできるようになりました。ただし「全国通訳案内士」やそれに似た名前は、合格して登録した人しか使えません。

資格の仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、通訳案内士とはどんな仕事かをまとめた記事もあわせて読んでみてください。

筆記と口述、2段階で何を見られるの?

ここが大事なところです

1次は5科目の筆記(マークシート)、2次は外国語で話す口述です。筆記で知識を、口述で「実際に案内できるか」を見る2段構えになっています。

全国通訳案内士試験は、まず筆記試験(第1次)を受け、合格した人が口述試験(第2次)に進みます。どちらも選んだ外国語で受けるのが基本です。

筆記試験(1次)の5科目

筆記は5科目で、すべてマークシートの多肢選択式です。2026年度の施行要領では、時間・満点・合格基準点はこうなっています。

科目時間満点合格基準点(原則)
外国語90分100点70点
日本地理30分100点70点
日本歴史30分100点70点
一般常識20分50点30点
通訳案内の実務20分50点30点

合否は合計点ではなく、科目ごとに見られます。すべての科目が基準点に届いて、はじめて筆記合格です。

『外国語は得意だから、歴史が少し弱くても合計でカバーできるかな』と思うかもしれません。ただ、この試験ではそれが通用しないんです。1科目でも基準に届かないと、次に進めません。

5科目では、それぞれどんなことが問われる?

『日本地理や歴史って、中学や高校の教科書の内容なのかな』と思う方もいますよね。実はこの試験の地理と歴史は、外国人観光客がよく訪れる場所や、評価の高い観光資源に関わる事柄が中心です。

科目問われることのイメージ
外国語読解、外国語文の和訳、和文の外国語訳、日本の事柄を外国語で説明する力
日本地理観光地に関わる地理の基礎知識(地図や写真を使った問題も含む)
日本歴史観光資源に関わる歴史と、今の日本人の暮らしや文化につながる事柄
一般常識前年度の観光白書の主な施策や、新聞の1面で大きく扱われた時事問題
通訳案内の実務関係法令の基本、旅程管理、旅行者の国別・文化別の特徴、危機管理の基礎

通訳案内の実務は、観光庁が発行した「通訳ガイドテキスト(初版)」が原則として試験範囲です。教科書がはっきり決まっている科目なので、まずはこのテキストを読むところから始めると取りかかりやすいですよ。

科目ごとの出題形式は筆記試験(1次試験)の5科目を詳しく見た記事でまとめています。

口述試験(2次)の中身

口述試験は10分程度で、選んだ外国語で行われます。内容は大きく2題です。

  • 試験委員が読み上げる日本語を外国語に訳し、それに関連した質問に答える
  • 3つのテーマから1つを選んで外国語で説明し、質疑応答をする(プレゼンテーション)

評価項目は、プレゼンテーション、コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声、ホスピタリティの5つです。合格基準点は原則7割とされています。

口述の流れは二次試験(口述試験)の記事で詳しく取り上げています。

全国通訳案内士試験の筆記5科目と口述2題の全体像を示した図解

免除を使うと、受ける科目はどう変わる?

全国通訳案内士試験には、ほかの資格や前年度の結果で筆記科目が免除になる制度があります。持っている資格によっては、当日受ける科目がぐっと減るんです。

科目免除になる主なもの(2026年度の施行要領)
英語実用英語技能検定1級、TOEIC公開テストの一定点数
日本地理総合旅行業務取扱管理者・国内旅行業務取扱管理者の試験合格
日本歴史歴史能力検定 日本史1級または2級など
一般常識大学入学共通テスト「現代社会」80点以上など
通訳案内の実務ほかの試験による免除はなし

前年度の筆記で合格した科目も、次の年度に限って免除を申請できます。筆記に受かって口述で落ちた人は、翌年は口述から受けられる仕組みです。

免除を使う前に確かめたいこと
  • 持っている資格が、受ける年度の施行要領の免除対象に入っているか
  • TOEICなど期限がある資格は、対象となる実施時期に入っているか
  • 合格証明書などを、PDFやJPEGにしてアップロードできるか
  • 願書申請期間の締め切りまでに申請できるか

注意したいのは、願書が承認されたあとは免除の追加や変更ができないことです。期間が過ぎてから検定に合格しても、その年度は免除を申請できません。

免除になる資格の一覧は免除制度の記事で言語ごとに紹介しています。

申し込みから最終合格まで、1年の流れをカレンダーで見てみましょう

先に結論

申し込みは6月、筆記は8月、口述は11月、最終合格の発表は翌年1月です。願書を出してから結果が出るまで、半年以上かかる試験なんです。

通訳案内士試験は、日程を知らないまま準備を始めると、申し込みの締め切りを過ぎてしまうことがあります。そこで、2026年度の施行要領の日程をもとに、時期ごとにやることを1つの表にしてみました。

時期(2026年度の例)試験の動きこの時期にやること
申し込みより前JNTOが施行要領を公表施行要領を読み、受ける言語と免除の有無を決める
6月1日〜7月9日願書申請期間(電子申請)マイページ登録、願書入力、免除書類のアップロード、支払い
8月上旬頃受験票で会場が知らされる会場までの行き方と当日の時間割を確かめる
8月16日(日)筆記試験5科目(免除がある科目を除く)を受ける
9月25日(金)予定筆記試験の結果通知マイページで結果を確認し、口述の準備に切り替える
11月上旬頃口述試験の受験票会場と時間を確かめる
11月29日(日)口述試験外国語訳とプレゼンテーションに臨む
翌年1月22日(金)予定最終結果(官報とマイページ)合格なら都道府県への登録手続きへ

この表を見ると、筆記の結果が出てから口述まで約2か月しかないことが分かりますよね。筆記の勉強と並行して、少しずつ「話す練習」を始めておくのがおすすめです。

よくある失敗

「試験は8月だから夏から準備すればいい」と考えて、6月から7月の申し込み期間を見落とすケースがあります。願書の提出と支払いが期限までに終わっていないと、その年度は受けられません。

なお、これは2026年度の日程です。翌年度の日程は毎年JNTOが施行要領で公表するので、受ける年度の施行要領で確かめておきましょう。申し込みの手順は試験の申し込み方法と日程の記事で順番に紹介しています。

筆記試験当日の時間割

2026年度の筆記試験は、1日で5科目を受ける時間割でした。外国語が11時から12時30分、日本地理が13時40分から14時10分、日本歴史が14時40分から15時10分です。

そのあと一般常識が15時40分から16時、通訳案内の実務が16時30分から16時50分と続きます。朝から夕方まで長丁場なので、過去問を解く時も一度は本番と同じ順番で通してみてください。

補足

時間割は変更になる場合があります。受ける年度の施行要領と受験票で確かめておきましょう。免除がある科目は受けなくてよいので、その分だけ当日の拘束時間も短くなります。

試験会場はどこ?

筆記試験は札幌市、仙台市、東京近郊、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、沖縄県で行われます。地方に住んでいても、比較的近くで受けられるのはうれしいところです。

口述試験の会場は、英語・中国語・韓国語なら東京近郊、大阪近郊、福岡市です。それ以外の言語は東京近郊だけなので、遠方の方は移動の計画も早めに立てておきましょう。

合格者はどれくらい?JNTOの公表値を見てみましょう

先に結論

JNTOの公表値では、最終合格率は2023年度12.0%、2024年度10.0%、2025年度14.7%です。年度によって数字がかなり動くので、1年分だけで難しさを決めつけないのがコツです。

『合格率が低いと聞いて不安…』という方もいるかもしれません。まずはJNTOが公表している数字をそのまま並べてみますね。

年度受験者数第1次合格率第2次合格率最終合格者数最終合格率
2023年度3,63822.7%48.4%43612.0%
2024年度3,84918.0%52.6%38510.0%
2025年度3,98727.6%50.3%58514.7%

受験者数には、筆記試験が免除になった人も含まれています。また、第2次の合格率はどの年度も5割前後です。

この表から分かるのは、筆記の段階で多くの人が絞られているということです。ただ、口述も半分前後の人が不合格になっているので、話す練習を後回しにしないほうがいいですよ。

JNTOの公表値をもとに筆記と口述でどこで絞られるかを示した図解

合格率の数字を見る時に気をつけたいこと

合格率は、自分の合格の見込みをそのまま表す数字ではありません。受験者の中には、準備がまだ十分でないまま試しに受ける人も含まれているからです。

数字を見る時のチェック
  • 「JNTOの公表値」かどうかを確かめる
  • 最終合格率だけでなく、筆記と口述の段階ごとの数字も見る
  • 1年分ではなく、複数の年度を並べて見る
  • 自分が受ける言語の数字も確かめる

言語別や科目別の見方は、合格率と合格基準の記事で詳しく取り上げています。

試験について、よくある相談に答えます

ここでは、知恵袋などでよく見かける試験の相談を3つ取り上げて、公式の情報をもとに答えていきます。

「英語の筆記を受けるのと、TOEICで免除を取るのはどちらが楽?」

これは閲覧数の多い相談です。以前は「TOEIC840点以上で免除」と言われていましたが、2026年度の施行要領ではListening & Readingは900点以上が条件です。

どちらが楽かは人によって違いますが、考え方は1つです。TOEICはIPテストが対象外で、2026年度試験なら2025年4月1日以降に実施された公開テストの得点が対象になります。

判断のヒント

TOEICの公開テストを受けて、願書申請期間の締め切りまでに900点以上の得点を手元にそろえられるかが目安です。間に合わない場合は、英語の筆記を受ける準備も並行して進めておくと安心です。

「地方に住んでいると、この試験の話をまったく聞きません。本当に難しいの?」

地方では周りに受験した人がいなくて、情報が入りにくいですよね。難しさを知るには、まずJNTOの公表値を見るのがいちばん確かです。

上の表のとおり、最終合格率は1割から1割半くらいで推移しています。ただし、これは「誰でも受けられる試験」の数字です。準備をしてから受ける人だけに絞れば、感じ方は変わってきます。

「試験は一次しかないの?二次もあるの?」

申し込みの画面や記事を見て、ここが分からなくなる方もいます。通訳案内士試験は、筆記(第1次)と口述(第2次)の2段階です。

口述試験を受けられるのは、筆記に合格した人と、筆記が免除される人です。筆記だけで資格が取れるわけではないので、計画を立てる時は口述まで入れておきましょう。

準備はどこから始める?独学か、講座や英会話を使うか

先に結論

まずは施行要領と過去問で「自分に何が足りないか」を知るのが出発点です。そのうえで、独学で進めるか、講座や英会話レッスンを組み合わせるかを決めると迷いにくくなります。

試験の全体像が見えたら、次は自分の準備の仕方を決める番です。いきなり教材を買う前に、手を動かせる順番で進めてみてください。

最初の1か月でやること
  1. JNTOのサイトで最新年度の施行要領を読み、受ける言語と日程を確かめる
  2. 持っている資格で免除になる科目がないかを表で確かめる
  3. JNTOの過去問ページで、最新年度の日本地理を1回分解いてみる
  4. 好きな観光地を1つ選び、外国語で3文の説明を作って録音する
  5. 結果を見て、時間をかける科目の順番を決める

今の自分の状況から、最初の一歩を選んでみましょう

同じ試験でも、持っている資格や得意な分野によって、最初に手をつけるところは変わります。目安を表にしたので、近いものを探してみてください。

今の状況最初にやるとよいこと
英検1級などを持っていて、地理や歴史が不安英語の免除を確かめ、日本地理と日本歴史の過去問から始める
語学は得意だが、資格の証明がない英語の筆記の過去問を1回分解き、読解と和文外国語訳の出来を見る
歴史や地理は好きだが、語学に自信がない外国語の勉強時間を多めに確保し、観光地を外国語で説明する練習を始める
勉強できる時間が限られている試験日から逆算し、科目ごとに週の勉強時間を決める
前年度に筆記の一部に合格した次の年度だけ使える科目免除を申請し、残りの科目に集中する

迷ったら、まずは過去問を1回分解いてみるのがいちばん早いです。点数が分かると、どの科目に時間をかけるべきかが自然に見えてきます。

独学で進めるか、講座や英会話レッスンを使うか

独学でも合格を目指せる試験です。公式の資料と過去問がそろっているので、計画を自分で立てられる人には十分な選択肢です。

一方で、ひとりでは進めにくい場面もあります。たとえばこんな時です。

  • 口述試験の練習で、外国語で話す相手がいない
  • 和文外国語訳を書いても、正しいかどうか見てもらえない
  • 仕事や家事で、勉強できる時間が限られている
  • 科目が多くて、何から始めればいいか決められない

こうした悩みがある方は、講座やオンライン英会話を「足りない部分だけ借りる」つもりで使うと無理がありません。

「独学でいけるかな」「でも口述が心配で」という方は、講座・予備校の選び方の記事で学び方の違いを比べてみてください。話す練習だけ補いたいなら、オンライン英会話の使い方の記事も参考になります。

通訳案内士ドットコム

独学に不安があるなら、講座やオンライン英会話を比べてみませんか

和文外国語訳の添削や口述試験の練習相手など、独学では用意しにくい部分だけでも講座やオンライン英会話を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通訳案内士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある質問

通訳案内士試験は誰でも受けられますか?

はい、受けられます。全国通訳案内士試験は、年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく、どなたでも受験できます。

試験日はいつですか?

2026年度は筆記試験が8月16日、口述試験が11月29日でした。翌年度の日程は毎年JNTOが施行要領で公表するので、受ける年度の施行要領で確かめてください。

試験は何語で受けられますか?

英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語の10言語です。二カ国語での受験もできます。

受験手数料はどこで確かめられますか?

JNTOが公表する施行要領で確かめられます。一カ国語ごとにかかり、免除があっても減額されず、支払い後の返金もありません。

筆記に合格して口述で落ちたら、翌年はまた筆記からですか?

前年度に筆記5科目すべてに合格していれば、翌年度は筆記全体の免除を申請でき、口述から受けられます。自動ではないので、毎年あらためて申請が必要です。

まとめ

この記事の要点
  • 通訳案内士試験は、観光庁長官が行いJNTOが運営する年1回の国家試験
  • 筆記5科目(科目ごとに合格基準点)と、約10分の口述試験の2段階
  • 2026年度は6月に申し込み、8月に筆記、11月に口述、翌年1月に最終発表
  • 免除は願書申請期間内に自分で申請する
  • 合格率はJNTOの公表値で年度ごとに大きく動く
通訳案内士ドットコム

通訳案内士ドットコム 編集部

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