通訳案内士の二次試験(口述試験)とは?流れと評価項目

通訳案内士の二次試験(口述試験)の流れと評価項目を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が観光庁・日本政府観光局(JNTO)など公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に資格講座・オンライン英会話への案内(広告)を含みます。

『筆記はなんとかなりそう。でも、通訳案内士の二次試験って何をするの?』と不安に感じている方も多いですよね。

結論から言うと、二次試験は約10分の口述試験で、日本語を外国語に訳す問題とプレゼンテーションの2題が出ます。知識だけでなく、ガイドとして受け答えできるかが見られるんです。

この記事では、口述試験の流れと5つの評価項目を、どの場面で何を見られるのかという形で紹介します。

目次

通訳案内士の二次試験(口述試験)とは?

先に結論

全国通訳案内士の二次試験は、選んだ外国語で行う10分程度の口述試験です。受験者に通訳案内の仕事を擬似的に行わせて、ガイドとしての力を見ます。

全国通訳案内士試験は、筆記(第1次)と口述(第2次)の2段階です。通訳案内士の2次試験と呼ばれるのが、この口述試験なんです。

筆記試験がマークシートで知識を見るのに対して、口述試験では実際に外国語で話します。観光地の案内を想定した場面で、どう説明し、どう受け答えするかが問われます。

項目内容(2026年度の施行要領・ガイドライン)
試験日11月29日(日)
試験時間10分程度
言語筆記と同じ選択外国語
内容外国語訳と質疑、プレゼンテーションと質疑の2題
評価項目プレゼンテーション、コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声、ホスピタリティ
合格基準点原則7割

『10分なら、あっという間に終わりそう』と思うかもしれません。ただ、その10分の中で2題をこなすので、1つ1つの受け答えにかけられる時間は意外と短いんです。

題材になるのはどんなこと?

ガイドラインでは、題材は日本の観光地などに関わる地理・歴史・産業・経済・政治・文化の主な事柄のうち、外国人観光客の関心が強いものとされています。筆記で勉強した内容が、そのまま話すネタになるイメージです。

たとえば、寺社や城、季節の行事、日本の食文化などを外国語で紹介できるかどうか。筆記の知識を「話せる知識」に変えておくことが、通訳案内士の口述試験の準備の中心になります。

筆記試験とはここが違う

同じ試験の中でも、筆記と口述では求められる力がかなり違います。並べてみると、準備の切り替えどころが見えてきますよ。

筆記試験(第1次)
  • マークシートで知識を答える
  • 5科目それぞれに合格基準点がある
  • 過去問を解いて慣れることができる
口述試験(第2次)
  • 外国語で話し、その場で受け答えする
  • 5つの評価項目で、原則7割が合格基準
  • 相手とのやり取りを練習しておく必要がある

試験全体の流れは全国通訳案内士試験の全体像の記事でまとめています。

口述試験の流れ:2題で何をする?

ここが大事なところです

1題目は「日本語を聞いて外国語に訳し、関連した質問に答える」、2題目は「3つのテーマから1つ選んで外国語で説明し、質疑応答する」です。

通訳案内士試験の二次試験の2題を、流れに沿って見ていきますね。

口述試験の流れ(ガイドラインの内容から)
  1. 試験委員が日本語の文章を読み上げる(メモを取ってよい)
  2. 読み上げられた内容を外国語に訳す
  3. 訳した内容に関連して、ガイドとしての対応を問う質疑に答える
  4. 提示された3つのテーマから1つを選ぶ
  5. 選んだテーマについて外国語で説明する
  6. 説明の内容について、試験委員と外国語で質疑応答する

1題目:外国語訳と質疑

正式には「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」という長い名前です。試験委員が読み上げる日本語を外国語に訳し、その内容に関わる質問に答えます。

読み上げの内容はメモを取ってよいとされています。全部を書き取ろうとすると聞き逃してしまうので、数字や地名、キーワードだけを書く練習をしておくと安心ですよ。

訳したあとの質疑では、ガイドとしてどう対応するかが問われます。たとえば次のようなやり取りを想定しておくとイメージしやすいはずです。

「お客様が予定より遅れて集合場所に来ました。どう対応しますか?」
「まず安全を確かめて、次の予定に間に合うよう、移動の順番を組み直すことを提案します」

正解が1つに決まった質問ばかりではありません。ガイドとして落ち着いて、お客様のことを考えた受け答えができるかが大事なんです。

2題目:プレゼンテーションと質疑

2題目は「プレゼンテーション問題」です。提示される3つのテーマから1つを選び、外国語で説明したあと、試験委員と質疑応答をします。

3つから選べるので、得意な分野のテーマがあれば、そこで力を出せます。ただ、どれも苦手な分野ということもあるので、幅広いテーマで短く話す練習をしておきたいところです。

説明の組み立ては、たとえば次のような3段構成にすると話しやすくなります。

  • 何か(そのテーマを一言でいうと)
  • なぜ外国人観光客に知ってほしいか(見どころや背景)
  • 実際に体験するならどうするか(場所や季節、楽しみ方)
口述試験のプレゼンテーションに向けて観光地で説明の練習をするイメージ写真

テーマを選ぶ時の考え方

3つのテーマから1つを選ぶ時間は、思っているより短く感じるものです。ふだんから「このテーマならこの切り口で話す」と決めておくと、本番で迷いにくくなります。

テーマの種類話す切り口の例
観光地(寺社・城・街並み)いつごろ、何のために作られたか、今どう楽しめるか
季節の行事いつ行われるか、どんな意味があるか、旅行者はどう参加できるか
食文化どんな料理か、どこで食べられるか、食べ方のちょっとしたコツ
伝統文化・芸能どんなものか、どこで見られるか、初めての人の楽しみ方
自然・景色どの季節が見どころか、どうやって行くか、どんな体験ができるか

この表のように、どのテーマでも「何か・なぜ・どう楽しむか」の3つを話せれば、組み立ては同じです。1つの型で何十ものテーマに対応できるようにしておきましょう。

詳しい練習方法は二次試験対策の記事で、プレゼンと通訳に分けて紹介しています。

5つの評価項目は、どの場面で見られる?

先に結論

5つの評価項目は、2題のどちらか片方だけで見られるわけではありません。場面ごとに「特に見られやすい項目」を知っておくと、練習の焦点が決まります。

ガイドラインに挙げられている評価項目は、プレゼンテーション、コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声、ホスピタリティの5つです。合格基準点は原則7割とされています。

ただ、項目の名前だけ見ても、何を練習すればいいかイメージしにくいですよね。そこで、試験の場面ごとに、どの項目が関わりやすいかを表にしてみました。表の「関わりやすい」は、ガイドラインの説明をもとにこの記事で考えた目安です。

場面プレゼンテーションコミュニケーション文法及び語彙発音及び発声ホスピタリティ
日本語を聞いて外国語に訳す関わることがある関わることがある特に関わりやすい特に関わりやすい関わることがある
訳した内容についての質疑関わることがある特に関わりやすい関わりやすい関わりやすい特に関わりやすい
テーマを選んで説明する特に関わりやすい関わることがある関わりやすい関わりやすい関わることがある
説明についての質疑応答関わりやすい特に関わりやすい関わりやすい関わりやすい特に関わりやすい
口述試験の2題と5つの評価項目の対応を示した図解

項目ごとに、どんな力を見られる?

5つの項目を、もう少しかみくだいてみます。ガイドラインでは、コミュニケーションは臨機応変な対応力や会話を続けようとする意欲、ホスピタリティは全国通訳案内士としての適切な受け答えなどとされています。

評価項目かみくだくと練習のしかたの例
プレゼンテーション分かりやすく組み立てて説明できるか3段構成で1分間話して録音する
コミュニケーション臨機応変に対応し、会話を続けようとするか質問されたら一言で終わらせず、理由を1文足す
文法及び語彙正しい文法と、伝わる言葉を使えるか観光でよく使う言い回しをノートにためる
発音及び発声聞き取りやすく話せるか録音を聞き返し、聞き取りにくい語を直す
ホスピタリティガイドとして適切に受け答えできるかお客様の立場で「困っていることは何か」を考えて答える

『文法を1か所間違えたら、もうだめなのかな』と心配になる方もいますよね。実は、評価は5つの項目で見られるので、1つの言い間違いだけで決まるものではありません。言い直してでも、伝えようとする姿勢を見せることが大事です。

よくある失敗

覚えてきた説明を早口で一気に話し切ってしまい、試験委員の質問にうまく答えられない。プレゼンは「話し終えたら質疑が続く」前提で、相手に伝わる速さで話す練習をしておきましょう。

聞き取れなかった時はどうする?

試験委員の質問が聞き取れなかった時、黙ってしまうのがいちばんもったいない場面です。会話を続けようとする姿勢も、コミュニケーションの一部なんです。

たとえば英語なら、こんな言い方を用意しておくと落ち着いて対応できます。

「Could you say that again, please?」
「Do you mean …?」

聞き返すこと自体は、ガイドの仕事でもよくあることです。お客様の言いたいことを確かめてから答える、という姿勢で臨んでみてください。

受験資格・会場・日程を確かめておこう

先に結論

口述試験を受けられるのは、筆記に合格した人と、筆記が免除される人です。会場は言語によって違い、英語・中国語・韓国語は東京近郊・大阪近郊・福岡市、それ以外は東京近郊だけです。

通訳案内士の2次の受験資格と会場は、申し込み前から知っておきたいポイントです。2026年度の施行要領の内容を表にまとめました。

項目2026年度の内容
受験資格筆記試験に合格した人(筆記試験を免除される人を含む)
言語筆記と同じ選択外国語
会場(英語・中国語・韓国語)東京近郊、大阪近郊、福岡市
会場(それ以外の言語)東京近郊のみ
受験票11月上旬頃(会場と時間が分かる)
試験日11月29日(日)
最終結果2027年1月22日(金)予定(官報とマイページ)

筆記の結果通知(2026年度は9月25日予定)から口述まで、約2か月です。地方に住んでいる方は、受験票が届いたらすぐに移動の計画を立てておくと慌てずにすみます。

筆記の結果を待つ2か月の使い方

筆記試験から口述試験までは、2026年度なら3か月あまり、結果通知からだと約2か月です。この期間をどう使うかで、口述の準備の厚みが変わってきます。

時期(2026年度の例)やっておきたいこと
筆記試験の直後自己採点をして、口述の準備を始めるか決める
9月25日の結果通知まで観光地の説明を毎日1つ録音する
結果通知のあと1回10分の通し練習を週に数回入れる
11月上旬の受験票会場と時間を確かめ、移動の計画を立てる
試験直前よく使う言い回しのノートを見直す

前年度の筆記合格者は口述から受けられる

前年度に筆記5科目すべてに合格した人は、翌年度に筆記全体の免除を申請できます。つまり、筆記に受かって口述で不合格だった人は、翌年は口述から受けられる仕組みなんです。

JNTOの公表値で、第2次受験者数が第1次合格者数より多いのはこのためです。ただし免除は自動ではないので、翌年度の願書申請期間に申請しておきましょう。

当日の待機について

ガイドラインでは、試験を終えた人は未受験の人と別の部屋で待機し、通信機器を預けるなどの措置がとられるとされています。試験の内容が外に漏れないための仕組みなので、当日は案内に従いましょう。

二次試験について、よくある相談に答えます

知恵袋などでよく見かける二次試験の相談を3つ選び、ガイドラインの内容をもとに答えていきます。

「通訳がうまくいかなかったら、プレゼンで挽回できますか?」

閲覧数の多い相談です。ガイドラインでは、5つの評価項目で見て、合格基準点は原則7割とされています。項目ごとの配点や、題ごとの採点のしかたまでは公表されていません。

だからこそ、1題目でつまずいても気持ちを切り替えることが大切です。2題目のプレゼンと質疑にも、プレゼンテーションやコミュニケーション、ホスピタリティを見せる場面はたくさんあります。

練習の時から「うまくいかなかった時の立て直し方」も決めておくと安心です。たとえば、言葉に詰まったら一度深呼吸して、言い換えられる簡単な表現で話し直す、と決めておくだけでも本番で慌てにくくなります。

「日本の文化について外国語で書かれた文を、丸ごと覚えるべきですか?」

覚えた文が役に立つ場面はあります。ただ、口述試験は説明のあとに質疑が続くので、暗記した文を読み上げるだけでは対応しきれないこともあるんです。

おすすめは、まるごと暗記するのではなく「核になる1〜2文」と「よく使う言い回し」をためておくことです。それを組み合わせて、その場で話せるように練習しておくと、質問にも柔軟に答えやすくなります。

たとえば近所の神社なら、「地元の人が昔から大切にしてきた場所です」「季節ごとにお祭りがあります」のような核の文を用意しておきます。あとは質問に合わせて、見どころや行き方、楽しみ方の話を足していけばいいんです。

「時間が限られたお客様に、2つの観光地のどちらをすすめるか聞かれたら?」

こうした「どちらをすすめますか」という質問は、ガイドとしての判断と受け答えを見る場面です。正解は1つではないので、理由をつけて答えることが大事になります。

答え方の流れは、次のようにしておくと迷いません。

選択を迫られる質問の答え方
  • まず、お客様の希望や関心を確かめる一言を入れる
  • どちらをすすめるかを、はっきり伝える
  • その理由を1〜2文で説明する
  • 移動時間など、お客様が気にしそうな点にも触れる

話す練習の相手をどう作る?独学・講座・英会話

先に結論

二次試験は「話す試験」なので、声に出す練習が欠かせません。独学で録音を使う方法から、講座やオンライン英会話で相手を作る方法まで、自分に合う形を選びましょう。

筆記の勉強は1人でも進められますが、口述試験はどうしても相手がほしくなりますよね。まずは1人でもできる練習から始めてみてください。

1人でもできる二次試験の練習
  1. 好きな観光地を1つ選び、外国語で3文の説明を作る
  2. スマホで録音し、聞き返して言いにくい語を直す
  3. 家族に日本語の短い文を読んでもらい、メモを取りながら訳す
  4. 自分で「どうしてそこをすすめるの?」と質問を作り、答えてみる
  5. テーマを変えて、同じ流れを毎日1つずつ続ける
二次試験に向けて1人でもできる話す練習の手順を示した図解

独学で進めるか、講座や英会話レッスンを使うか

録音や家族の協力があれば、独学でも練習は進められます。自分のペースで続けたい方には、それで十分な場合もあります。

一方で、こんな悩みがある方は、講座や英会話レッスンを使うと練習しやすくなります。

  • 外国語で話す相手がいなくて、質疑の練習ができない
  • 自分の訳や説明が正しいかどうか、見てもらう人がいない
  • 筆記の結果が出てから口述まで約2か月しかなく、時間が限られている
  • 何から練習すればいいか決められない

講座を比べたい方は講座・予備校の選び方の記事を、話す相手だけ作りたい方はオンライン英会話の使い方の記事を読んでみてください。どちらも、必要な部分だけ借りるつもりで使うと無理なく続けられます。

通訳案内士ドットコム

独学に不安があるなら、講座やオンライン英会話を比べてみませんか

和文外国語訳の添削や口述試験の練習相手など、独学では用意しにくい部分だけでも講座やオンライン英会話を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通訳案内士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

ちなみに、ガイドとして人と話すのが好きかどうかも、この試験に向いているかの1つの目安です。気になる方は通訳案内士に向いている人の記事ものぞいてみてください。

よくある質問

通訳案内士の口述試験は何分ですか?

10分程度です。その中で、外国語訳と質疑、プレゼンテーションと質疑の2題を行います。

二次試験の合格基準は?

ガイドラインでは、合格基準点は原則7割とされています。評価項目はプレゼンテーション、コミュニケーション、文法及び語彙、発音及び発声、ホスピタリティの5つです。

口述試験は筆記と違う言語で受けられますか?

受けられません。口述試験の選択外国語は筆記試験と同じです。

読み上げられた日本語はメモしてもいいですか?

はい、ガイドラインでは読み上げ内容のメモを取ってよいとされています。数字や地名、キーワードを中心に書く練習をしておくと安心です。

口述で不合格になったら、翌年はまた筆記からですか?

前年度に筆記5科目すべてに合格していれば、翌年度は筆記全体の免除を申請でき、口述から受けられます。申請は自動ではないので、願書申請期間内に手続きしましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 通訳案内士の二次試験は10分程度の口述試験で、選んだ外国語で行う
  • 内容は外国語訳と質疑、プレゼンテーションと質疑の2題
  • 評価は5項目で、合格基準点は原則7割
  • 受験資格は筆記合格者(免除者を含む)、会場は言語によって異なる
  • 話す練習は録音から始め、相手が必要なら講座や英会話を組み合わせる
通訳案内士ドットコム

通訳案内士ドットコム 編集部

通訳案内士の仕事と資格の仕組み、全国通訳案内士試験の科目・日程・免除制度、勉強法、登録と研修、講座の選び方までを整理している通訳案内士の情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次